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「私」は尾瀬弘の遺体のどんな状態を見て大石の話のウソを見破ったのでしょう?

“ 「強い風が吹いていた。ずっとだ。噴き上げる強い風、横殴りの風。
 強い風が、絶えず方向を変えながら俺たちを煽っていた。まるで、山が俺たちを拒み、はたき落とそうとしているかのように」
 大石総司は、救助された山小屋で言った。
 足元には、彼といっしょに登山していた尾瀬弘の遺体が安置されている。
 彼の額は割れ、乾いてしまった血の跡がまっすぐ顔を縦断していた。目を閉じた苦悶の表情が痛々しい。
 「十分注意しているつもりだった……だが、突然の噴き上げるような突風に身体が宙に浮いた。同時に足を滑らせ……アイツは、崖に滑り落ちたんだ。
 俺は慌てて、アイツをつないでいるザイルを握りしめた。間一髪で、崖下に叩き付けられるのは防げた。
 だが、引き上げようとした瞬間、落石があって……落石は俺をかすめて、アイツの頭に当たったんだ。
 ザイルで宙に吊されていては避けようもない。……一発だったよ。ヒクンと身体を動かして、それっきりだ」
 大石の痛ましい描写に、その場にいた者は皆言葉を失った。……私を除いて。
「俺は……俺は弘の婚約者の夏菜になんて報告すればいいんだ……」
 私は冷たく、大石を突き放した。
「ありのまま、伝えればいいんじゃないですかね。『俺が尾瀬さんを殺した』と」
「な……!?」
「本当のことをここでも言った方がいいですよ、大石さん。あなたが岩を使って尾瀬さんの頭を割り、そのあと断崖に吊してから、救援を呼んだのでしょう?」
「なっ……なにを言っているんだ?」
 いきりたつ大石。私は極めて冷静に言った。
「証拠はこれです」
 私は尾瀬さんの遺体を指さした。”

↑「私」は尾瀬弘の遺体のどんな状態を見て大石の話のウソを見破ったのでしょう?
ヒント1を見る▼
風が強い状況で吊るされていたのです。 血の跡をもう一度確認してみてください。
これでもまだわからないですか・・・?
答えと解説を見る▼
血の跡がまっすぐ顔を縦断していた

解説

大石の言うとおり、風の強いガケに吊された状態だったのなら、血がまっすぐ滴るわけがありません。
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