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被害者は「銃を構えたままこちらに向かってきました」。 この福田巡査の証言と矛盾する事実とはなんでしょうか?

“ 「お願いです。息子はもう戻りません。ですから、息子の無実だけでも、晴らしてください」
 被害者の老母から、すがるような依頼を受けた。
 私は警察の報告書を確認する。
 被害者は山崎和也。警官に襲いかかり、正当防衛で射殺されている。

福田巡査の証言
「銃声がしたので、そちらに走っていきました。万が一を考えて、腰の拳銃を確認しました。
 警戒しながら、その路地に近づいたときです。男がいきなり、銃を撃ってきたのです。男の初撃は外れましたが、男は銃を構えたままでした。本官は「銃を下ろしなさい、下ろさないと発砲します」と警告したのですが、男は無視をし、銃を構えたままこちらに向かってきました。本官は無我夢中で、足を狙ったのですが……なにぶんにも慌ててたため……」

 証言は具体的で現場の張り詰めた空気が感じられるようだ。
 私は死体所見書を読み始めた。

 男・山崎和也の死因は側頭部からの銃創。銃弾は司法解剖の際に取り出され、福田巡査の拳銃のものと一致した。他に銃創は無い。福田巡査が自分の拳銃を一発しか撃っていない事実にも合致する。
 手には発射残渣があり、この点でも証言と一致する。一方、和也の拳銃は二発の弾が発射されていたが、弾丸のうち一発はまだ見つかっていない。

 ……おかしい。どこか、おかしい。
 もしこれが福田巡査の正当防衛でなかったら。山崎和也の拳銃の発射が、福田巡査に向けてのものでなかったなら。
 山崎が福田巡査に襲いかかってきた証拠はない。むしろ、襲いかかってきていない証拠があるのだ。
 私は慎重に調査書を読み進めた。
 老母の祈りは天に届くかも知れないな、と考えながら。”

↑被害者は「銃を構えたままこちらに向かってきました」。 この福田巡査の証言と矛盾する事実とはなんでしょうか?
ヒント1を見る▼
被害者が銃を構えたままこちらに向かってきました → 死因をもう一度確認してみてください
これでもまだわからないですか・・・?
答えと解説を見る▼
死因は側頭部からの銃創

解説

福田巡査の証言通りなら、銃創は額にないといけません。
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