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「私」はバイオリンを演奏し始めた高杉を怪しいと思いました。なぜ怪しいと思ったのでしょうか?

“ バイオリニストが一人、死んだ。オーケストラ演奏会の30分前のことだ。
 私もこの騒ぎに巻き込まれてしまった。楽団員の友人に花束を届けに楽屋に来ていたのだ。
 楽屋に警察が出入りする中、バンドマスターは団員を他の部屋に集めて、言った。
 「……こんな時に不謹慎かも知れないが、今夜の演奏会をどうしよう……」
 「まだやるつもりですか?」
 楽団員の一人が言った。
 「キミも知っているだろう。今夜の演奏会はわが楽団にとって大切な演奏会なのだ」
 「どういうことです?」
 私はこっそりそばにいた友人に聞いた。
「今時のオーケストラというのはほとんどのところが有力なスポンサー企業がつかないとやっていけない。そして、今日の演奏会には、スポンサー候補になる企業のお偉いさんを招いているんだ」
「なるほど。それは、印象としても最悪になるワケですね」
「そういうことだ」
「だけど、赤坂さんの代わりを今から見つけると言っても……」
 その時、声が上がった。
「私がやりましょう」
「高杉さん」
 彼は手に持っていたケースからバイオリンをとりだし、弓を当てて軽く演奏して見せる。美しく繊細な音が流れて、その場をぱっと明るくした。
「私は照明をやる予定でしたが、それは劇場のスタッフにお願いすることにします」
「これでコンサートを開けるぞ!」
 喜び、拍手を送る団員たちの中で、私は友人にそっと話しかけた。
「あの高杉という人、怪しいですね。彼が赤坂さんの死を仕組んだのかも知れません」
「えっ? た、高杉さんが?」
「私より楽器に詳しいあなたの方が先に気が付いてしかるべきだと思いますよ? とにかく演奏会が終わったら、彼には色々と聞いてみたいですね」”

↑「私」はバイオリンを演奏し始めた高杉を怪しいと思いました。なぜ怪しいと思ったのでしょうか?
ヒント1を見る▼
バイオリンが美しい音色を出すためには、事前に準備が必要です。 ですが、高杉のバイオリンは…
これでもまだわからないですか・・・?
答えと解説を見る▼
美しく繊細な音が流れて

解説

バイオリンが美しい音色を出すためには、事前に弓に松ヤニを塗るなどの準備が必要です。調音もしておかねばなりません。事前に赤坂氏が演奏を出来なくなることを予測していたとしか思えません。
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