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中村の証言と矛盾する現場の状況とは、いったい何でしょう?

“ 繁華街は騒然としていた。
 暴力団どうしの抗争で、人が一人、射殺されたからである。
 被害者の名前はアラン・ソーニック。欧州系の犯罪組織の一員だ。
 問題は彼が射殺されたのが、対立する広域暴力団の事務所の前の通路だということである。
 事務所内部から見ると入り口の右側にはロッカーが、左手には観葉植物がある。右手側の壁には窓があり、隣の雑居ビルの壁が接近している。
「向こうが先に撃ったんだ。これは正当防衛だ!」
アランを撃った被疑者、中村は興奮して答えた。
「あの男が、手に銃を持って、廊下の端からこちらに歩いてくるのが見えたんだよ。
 『誰だ!?』と叫んだら、その男がこっちに銃を構えたんだ。それで、俺は慌てて事務所に飛びこんだんだが、そこでバンと一発……。そこの突き当たりの窓を割ったんだよ」
「これですね」
 荒井刑事が指さした窓は確かに割れている。銃弾によるものかはわからないが。
「野郎、この部屋の前まで追いかけて来た。だから、俺はとっさに机の引き出しに隠してあったアニキの拳銃を取り出し、ヤツを撃ったんだ。
 映画みたいに上手くは行かねぇもんだな、ヤツは腹撃たれて、よろよろと歩いて逃げだそうとしたんだが……通路に出て、そこでようやくくたばりやがった」
「アランが撃ったのは一発か?」
「ああ」
「警部。薬莢がありました。大きさからして、コルト・ガバメント・オートマティックのですね」
大鳥鑑識管がロッカーの隅にあった薬莢を拾い上げる。
「警部。コルトはどっちの銃ですか?」
 私は聞いた。
「アランのだ。中村のはスミス&ウェッソン、38口径リボルバーだ」
「そうですか。そうすると、中村さんの証言にはだいぶおかしなところが出てきますねえ?」”

↑中村の証言と矛盾する現場の状況とは、いったい何でしょう?
ヒント1を見る▼
オートマティック拳銃を発砲すると…
これでもまだわからないですか・・・?
答えと解説を見る▼
ロッカーの隅にあった薬莢

解説

ロッカーは右側(入り口から入ってきたアランからは左側)にあります。一方オートマティック拳銃の薬莢は右側後ろ1メートルくらいにに自動で排出されます。つまり部屋の中でオートマティック拳銃を撃たないととその位置に薬莢は飛びません。
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