「私」がど忘れしている単語を指定してください。

“少女が死んだ。10階建てマンションの屋上から落下して。下はコンクリートの地面で、即死だったと思われる。
問題は、彼女が自殺なのか事故なのか殺人なのか、わからないと言うことである。

屋上にはスマホと学生カバンがあったが、靴は脱いでなかった。飛び降り自殺の場合、多くは靴と携帯電話などが残されているものである。それに遺書や書き置きが残されていれば、まず間違いなく自殺だ。
だが、遺書や書き置きがないからといって、自殺でないとは限らない。特に発作的な自殺の場合、そうだ。
マンションの屋上入り口は閉められて、通常は入れないようになっていた。しかし実際には鍵は壊れており、誰でも簡単に開け閉めできたのだ。

フェンスはしっかりとしていたが1m程度と低く、風に煽られて落ちた可能性すら有り得る。
少女の服は制服のブレザーとスカートだった。学生カバンもあったところから、帰宅の途中だったと思われる。が、なぜ、このマンションに寄ったのかもまた、わからない。
まったくもって、わからないことばかりだった。

「曰く、この世は不可解なり……と」
事件の概要を聞いた私の独り言じみた感想に、荒井刑事は不思議そうな顔をした。
「なんすか、それ?」
「それより、警察の見方はどんな風に?」
「難しいですね。どちらの見方をすることもできます。捜査に先入観を持つのは厳禁ですが、いっそ遺書でも出てくれば簡単なんですがねえ」
「荒井刑事、そういえば、あそこは探しましたか?」
「え? あそこって……?」
「えーと。なんていったっけかな。今時の若い人なら、あそこに遺書を書いてもおかしくないと思いますよ」”

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電車の中でも片時も手放せない、「あれ」です
これでもまだわからないですか・・・?
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スマホ

解説

スマートフォンの中に、電子的な書類として遺書が残っている可能性を考えたのです。
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