「私」が、裕太君が盗んだことに気が付いたのは、彼がウソをついているからです。裕太君のついたウソとはどこでしょう?

“「ないっ! ない、ない! ワシの『汗を拭く女』がないっ!!」

のどかな海辺の町の別荘で、小田原氏が大声を上げていた。
小田原氏は引退した実業家で、今は稀少切手収集家としてその筋では有名だ……ただし、悪名だが。彼は「金にあかせて切手を買い漁る成金」と言われている。
夕べも友人・知人を呼んで泊まりがけのパーティを開き、手に入れたばかりの『汗を拭く女』の高価なミスプリント切手を見せていたのだ。その切手が今日になって、無くなっているというのである。

「誰かが盗んだのだ! そうに決まっている!」
叫ぶ小田原氏を私はなだめる。
「まぁまぁ。どこに置いていたんですか?」
「この海に面した窓際の机の上に置いたんじゃ。間違いない!」
騒ぎがだいぶ大きくなって、小田原氏が警察を呼ぶと騒ぎ始めた頃、孫の裕太君が窓の外で声を上げた。
「あった! あったよ、おじいちゃん、切手あった!」
地面から切手を拾い上げる裕太君。

「窓の下に落ちてた。きっとお昼の海風で飛んで、外に落ちたんだよ」
「良かったですね、小田原さん。無くなった切手が見つかって」
「うん、良かった、良かった」
今度こそは切手を丁寧にしまう小田原氏を置いて、私はそっと裕太君を部屋の外に連れ出した。
「裕太君。君、おじいちゃんの切手を持ち出しましたね?
君には君の考えがあって、切手を隠した。しかし思ったより大きな騒ぎになったので、慌てて、部屋の外で見つけたフリをしたんでしょう?」
「そ、そうです、おじいさんがあんまり切手切手て騒いで、おばあさんが寂しがっているのを見て、つい……」
「裕太君は優しい子だね。でも間違った方法ではどんな心遣いも伝わらないよ。今回のことは黙っててあげるから、もうこんな事をしちゃいけないよ?」”

↑「私」が、裕太君が盗んだことに気が付いたのは、彼がウソをついているからです。裕太君のついたウソとはどこでしょう?
ヒント1を見る▼
これは海岸地帯で起きた事件です。
これでもまだわからないですか・・・?
答えと解説を見る▼
お昼の海風で飛んで

解説

海辺では昼の風は海から陸に向かって吹きます。ですから海側の窓からの風で切手が飛んだとすれば、部屋の中に切手は落ちているはずです。窓の外には落ちません。
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