現場の状況には不自然なところがあります。それが、佐原の死後動かされた証拠です。さて、それはどこでしょう?

“佐原敬吾が自慢の真っ赤なオープンカーの中で死んでいるのが発見されたのは、午後4時のことであった。
車は野外の駐車場とは名ばかりの、空き地に放置されていた。死亡推定時刻は午後1時頃。つまり3時間も、気が付かれずに放っておかれたのである。派手好きで目立ちたがり屋の佐原としては、天国で歯がみしていることだろう。
「死亡推定時刻ごろは激しい雷雨が降っていましたね。元々人通りが少ないところに持ってきて、そんな雨では、目撃者を捜すのも大変そうだ。面倒なことになったな……」
遠藤警部はめんどくさそうに言った。
「発見者はイヌの散歩をさせていた近所の人です。オープンカーなので佐原の姿がよく見えたそうです」

発見者の証言
「ビックリしました。見慣れない派手なオープンカーの中に、人が倒れていることに気が付いたときには。うちのイヌが派手に吠えるので気が付きました。幌がかかっていなかったので、近づかないでも、人が倒れ込んでいるのがよく見えました。
テレビドラマでよく言うでしょ、現場を荒らすなって。だから、私はそれ以上近づきませんでした」

ぬかるんだ地面には発見者の足跡しか無かった。発見者の足跡より近づいている足跡は皆無だったのである。
「こりゃあ、自殺の線が濃いですね」
荒井刑事が遠藤警部に言った。
私はキッパリと言った。
「自殺? 冗談じゃありません。少なくとも、死体遺棄をした人間がいます。そいつを捕まえて、佐原の死の原因を探らねばならないですよ。
そいつが現場から逃げる足跡や来たときのタイヤの跡をどうやって消したかはまだわかりませんが、それはこれからの調査でわかるでしょう」”

↑現場の状況には不自然なところがあります。それが、佐原の死後動かされた証拠です。さて、それはどこでしょう?
ヒント1を見る▼
死亡時刻には激しい雷雨が鳴っていたようです
これでもまだわからないですか・・・?
答えと解説を見る▼
幌がかかっていなかった

解説

死亡時刻には激しい雷雨が鳴っていたのですから、オープンカーが幌無しで走ってきたとは思えません。雨がやんだ跡、オープンカーに佐原の死体を乗せてやってきたものと思われます。
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