勇二のウソとはどこでしょう?

“現場検証の最中に、荒井刑事はネクタイを緩めながら、言った。

「今年一番の冷え込みだというのに……警部、暑くないですか、この部屋?」
「荒井君、君が着込みすぎなんだろう」
「あっ。暖房設定24度になっていますよ、この部屋」
「こら。殺人現場の現場保全だ。エアコンに触っちゃいかん」
「わかってますよ、警部」
荒井刑事は仕方なく答え、第一発見者に尋ねた。
「発見されたのは息子さんの勇二くんでしたね?」
「はい。午前2時頃、外から戻ってすぐに居間に入ると、血だまりに母が倒れていたんです」
遣り手の証券マンだという勇二は神経質そうに銀縁眼鏡の曇りを拭きながら言った。

「午前二時に帰宅ですか。証券業界も大変ですな」
「寒波が押し寄せている中、午前二時はさすがに辛かったですが。私も母も、寒がりですから。
玄関に入るとすぐに、居間で母が血だまりの中に倒れているのが見えたんです。
ビックリしました。慌てて抱き起こしたのですが……すでに母は事切れていて、たくさん……あああ……」
勇二は顔を覆って嘆き悲しんだ。

「それで、服に血がべっとりとついたんですね?」
「被害者の胸には深い刺し傷があります。たぶんこれが致命傷でしょうね」
「部屋は荒らされてませんね。物取りの犯行ではなさそうです」
「そうでしょうねえ。なにも今盗まなくても、いずれ母親の資産は全部あなたのものになりますものね、勇二さん」
「な、なにを失礼なことを!」
「ああ、失礼。あなたがウソをつかれているその理由を考えていたのですが。あなたはこの部屋に入るとき、すでにお母様が殺されていることを知っていた。あるいは……あなたがは言ったときまだお母様は死んでなく、あなたが殺した。どちらかしか考えられないですねえ?」”

↑勇二のウソとはどこでしょう?
ヒント1を見る▼
とても寒い中、暖かい部屋に入ると眼鏡は……?
これでもまだわからないですか・・・?
答えと解説を見る▼
居間で母が血だまりの中に倒れているのが見えた

解説

寒い中から24度の部屋に入ったならば、眼鏡は曇ってしまい、すぐには見えないハズです。
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