香川さんのウソの証言とはどこでしょう?

“「また捜し物かね、名探偵君?」
遠藤警部が、私を「名探偵」と呼ぶときは、だいたい皮肉を言いたいときである。今はきっと、めんどうくさいのに、警察の証拠保管庫に付き合わねばならないからだろう。

「ええ。20年前の強盗殺人事件の証拠を、もう一度確認に来たんですよ。その時の証言人が、1ヶ月前に殺されましてね」
「ふむ。殺人事件絡みか」
さすがに遠藤警部もめんどくさいとは言わなかった。

「えーと。これですね。1997年のです」
私は資料箱を取りだして、遠藤警部と共に箱を開けた。中には袋に入った証拠類、色々な書類、そしてフロッピーディスクが入っていた。

「フロッピーディスクとは懐かしい……まだこの頃はこうやってデータを記録しておいたんだ。新米刑事の頃、良く報告書造りで悩まされたものだ」
「幸いにして、報告書は印刷されてますね。良かった」
私は書類に目を通した。遠藤警部も覗き込む。

「そうそう、この人だ。香川有希子。
事件は1997年10月10日に起こったのだな。金曜日か。香川さんが銀行に行った帰りに、強盗団を目撃。人質に連れ去られた宝石店の店長が途中で殺害された……物騒な事件だな」
「香川さんはなにしに銀行へ?」
「貸金庫に証券類を預けに行ったとのことだ。預かり証も、ほら、コピーだが1997年10月10日の日付で、証拠類にある」
「……おかしいですね? 香川さんはウソの証言に証拠の捏造までしている。当時の警察は気が付かなかったのでしょうか?」
私は静かに指摘した。

「これは、ちょっと根深い事件になってしまうかも知れませんよ……」
そしてこれをきっかけに、元警官の汚職事件が浮かび上がるのだが、それはまた別の話。”

↑香川さんのウソの証言とはどこでしょう?
ヒント1を見る▼
1997年10月10日は何の日だったでしょうか?
これでもまだわからないですか・・・?
答えと解説を見る▼
銀行に行った

解説

2000年に『ハッピーマンデー法』が制定されるまで、10月10日は体育の日で祝日でした。ですからその日に銀行が貸金庫業務をやっているわけがありません。
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