“真夜中、私は事件現場からの帰り道に車を走らせていた。 すると、夜道を女性がひとりで歩いているのを見かけた。 「こんな時間に…」 私は車の速度を落として、窓を開けて女性に声を掛けた。 「どうしました、なにかあ […]

“駅前通りの美容室に釣銭泥棒が入った。 美容室の店内は全面鏡張りで、しゃれた雰囲気だ。 レジは入り口ドアのすぐそばにあって、鍵は差しっぱなしになっていた。 「うちはスタッフが少ないので、どうしても人の目がなく […]

“ある坂道に、ハンバーガー屋、会計事務所、服屋が並んでいる。 今度承けた仕事のことで会計事務所に用事があった私は、その坂道を歩いていた。 ハンバーガー屋から出てきた客がハンバーガーの包み紙を側溝に捨てる。 側 […]

“友人の春川と呑んでいると、最近放送されたテレビドラマの話になった。 登場人物は気障な青年探偵と、メガネを掛けたお堅い女子高生助手。 二人が怪事件を解決する連続ドラマだ。 昨日、その最終回が放送された。 最終 […]

“なにげなく新聞のテレビ欄を眺めていた私は、「第３回生卵回し選手権」の文字に目を留めた。 「生卵回しって…しかも第３回って。意外に真剣な大会なのか？」 ちょうど今放送されている。 興味を惹かれてしまい、私はテ […]

“ある民家の車庫に停められた車の中で女性の死体が発見された。 車内には酷い腐臭が充満しており、この時点で死後一週間は経過していたとみられている。 死因は不明。外傷はない。 あまりに物凄い臭いに、大鳥鑑識官はす […]

“街を歩いていた私は、旧い友人である三神とバッタリ再会した。 聞けば骨董市に向かう途中だと言う。 「お前、まだ骨董を集めてるのか…いつも偽物をつかまされていたのに、よく今まで続いているもんだ」 「当然だ！ 骨 […]

“カエデやイチョウの木がたくさん生えている紅葉の名所では、木々の根の保護のために立ち入り禁止区域を設けている。 その立ち入り禁止区域に入ってしまった写真家の青年が、管理人に捕まっていた。 紅葉のピークを過ぎた […]

“浪人生、相良淳の死体が自宅で発見された。 相良は自室の梁で首を吊っており、彼のデスクの上には大学の不合格通知が置いてあった。 「私がいけなかったのかもしれない…あの子を追い詰めてしまっていたのかも…」 相良 […]

“花水木美術館が窃盗団に狙われた。 なぜかその晩は警備システムが作動せず、数十点、合わせて５千万円相当の美術品が盗難に遭った。 「あの美術館は最新の警備システムを採用していたはずなのだが、証拠一つ残っていない […]