テロリストの犯したミスとはなんでしょう?

“「くっくっくっ、もうなにもかもが遅いぜ」
取り押さえられ、手錠で拘束されたテロリストは、勝ち誇った顔で言った。

「なに?」
「もう爆弾は仕掛けた。あとは爆発するのを待つばかりだ。くっくっくっ……」
「クソ……この港のどこに?」
袴田刑事は思わず私と顔を見合わせる。

「俺の爆弾は独自のアイディアで起爆するんでな。時限装置の時計の音なんか探してもムダさ。
アナログでもデジタルでもない。強いて言うなら大自然の時計を使っているのさ」
自慢げに言う男が無意識のうちに満月を見上げたのを、私は見逃さなかった。
満月……と言うことは、今日は大潮だ。
私の頭の中でひとつの連想が走る。
「袴田刑事。爆弾は水面近くに仕掛けられています。海水に濡れると通電して爆発するんです」
「なにっ!」
「ハ~~ッハッハッハッ、ようやく気が付いたか。船の喫水線のすぐ上に爆弾を仕掛けたんだ。満潮になって水位が上がれば……ふふふ……。だがもう遅い。今からこの港の船を全部調べるなんてことはできないからな!
ここの湾の干潮差が10メートル以上もあることは有名だ。もうすぐ大潮だ。言葉通り、最高潮だ! 花火がどんと打ち上がるぜ!」
大笑いしながら、男は勝ち誇った。

私はコッソリ袴田刑事に囁いた。
「大丈夫。ゆっくり探せますよ? 爆弾はたぶん爆発しませんから」
「えっ……」

それから3時間。
男の言う『大きな花火』こと爆弾は爆発しなかった。
「爆発、起こりませんね?」
「お、おかしい……何で爆発しなかったんだ? 俺の爆弾は完璧だったはずなのに……」
「あなた、自分のアイディアに酔って決定的なミスしているんですよ。笑っちゃうようなミスをね」
「な、なに? 俺が、ミスだと……!?」”

↑テロリストの犯したミスとはなんでしょう?
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爆弾を仕掛けた位置をもう一度確認してみましょう。
これでもまだわからないですか・・・?
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喫水線のすぐ上に爆弾を仕掛けた

解説

水に浮いた船は、いくら水位が上がっても、喫水線より上に海面が来ることはありません。
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