息子の孝行の言葉にはおかしなところがあります。それはどこでしょう?

“仙台のホテルの裏庭で初老の男の死体が見つかったのは7月の暑い日だ。泊まっていた部屋からは遺書が見つかり、自殺の線が濃厚だった。
私は運悪く、旅行中その場に居合わせてしまった。黙っていたかったが、第一発見者が姪の保奈美ではそうはいかない。

「おじは有名な私立探偵で、警察にもたびたび協力しているんですよ」
保奈美は仙台警察に私を売り込み、そのついでに自分も事件の捜査を覗き見ようという作戦である。
私は他人の振りをするのをあきらめた。

「それで、被害者の身元はわかったのですか?」
保奈美の目配せで、仕方なく私は警察に状況を聞いた。

「ええ。持っていた名刺と免許証から、鹿児島市の実業家、外園重吾氏だと思われます。現在、家族と連絡を取っています」
若い刑事が携帯を使って、名刺の電話番号に連絡した。

「もしもし。外園重吾氏のおたくですか? 息子さん? 仙台市警の者ですが……」
「息子の孝行と申しますが。父は現在旅行中で、行き先は私も知りません」
「非常に残念なお知らせですが……重吾氏が仙台市内のホテルで死体で発見されました。現在自殺の線で調べております」
「そんな……、父がなぜ、東北にまで行って? 宮城に親戚や知り合いはいないはずなのに……」
「わかりません。現在捜査中です。それで身元確認のために、至急仙台に来て頂きたいのですが」
「わかりました。……今から、東北行きの飛行機が取れるかな……」
孝行氏の独り言で、電話は切れた。

「話が早いですね」
「話が早すぎますね。鹿児島県警に連絡して、孝行氏と重吾氏の評判や、会社の経営状況を調べてください。どうも孝行氏は怪しいですから」
「えっ? なんででですか?」”

↑息子の孝行の言葉にはおかしなところがあります。それはどこでしょう?
ヒント1を見る▼
鹿児島県内に、「せんだい」という地名がありますね
これでもまだわからないですか・・・?
答えと解説を見る▼
行き先は私も知りません

解説

もし本当に行き先を知らないのであれば、『センダイ市警』という言葉を音だけで聞いたとき、鹿児島市の孝行は東北の宮城県仙台市より先に、鹿児島市の隣の川内(せんだい)市を連想するはずです。親戚も知り合いもいない仙台市の方を先に連想したのは不自然です。
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